老いらくの社会科

日本に暮らす老日本人生活者が社会について思うこと

東京都は太陽光パネルよりも核シェルターを

今回から「社会」関連グループに参加しようと思います。新参者ですが、よろしくお願いいたします。

このところ、世の中のおかしなところが目立つようになってきました。その手の話題には事欠かないのですが、特に気になったことを取り上げ、自分なりに考えをまとめた上でひとこと言わせていただきたいと思います。

太陽電池よりも燃料を使った電源の方が将来性があるかも

東京都、というよりも都知事の独走で、新築住宅に太陽電池の設置を義務化しようとしているのはご存じのとおりです。

個人的には、地方自治体がこのような条例を作ることには基本的に反対です。

住宅を建てる個人が自由意志で設置するのは全く問題ないと思いますし、いざという時のための電力供給を確保するためにも意味のあることだと思います。

そうした個人の努力に対して補助するのは大いに結構です。

知事としては地球温暖化対策のつもりかも知れませんが、温暖化対策だけでなく災害時のことを含めて考えると、太陽電池よりも個人宅か地域ごとに設置した小型のガスタンクやガスボンベを使った燃料電池の方が将来の水素活用も見据えるとよりよい気がします。もちろん設置は自由意志でです。

太陽電池は気象次第

大学の専攻は電気関連で、卒論のテーマは気象状況による太陽電池の劣化に関する研究でした。

一年間太陽電池を自然にさらし、出力などの特性を日々記録しその劣化状態を論文にまとめるという実に地味なテーマでした。一年間太陽に当てていたら太陽電池は少なからず劣化します。しかし結果として太陽電池の劣化は驚くほどごくわずかでした。

その理由は学校がある地域が日本海側だったからです。私が観測を続けた一年で、雲一つない快晴の日は、1日あったかどうかです。晴れていたとしても空のどこかに必ず雲が浮いている。あの雲さえなければ雲一つない快晴と言えるのに、といつも残念に思いながら空を眺めていました。

つまり一年野外にさらしてほとんど劣化が見られないほど発電機能が発揮できていなかったのです。日本海側で太陽電池を使う場合は、常に出力不足の懸念があるということです。

太平洋側は確かに天候面では恵まれています。日本海側に比べれば有用かも知れませんが、日中しか発電できませんし、天候で大きく変化する不安定な電源設備です。

非常時用であっても燃料を用いた電池をメインとして、太陽電池は補助的に使うのがベターな気がします。

同じ費用をかけるなら最初に核シェルターを

新築住宅は、新しい設備を設置するにはいい機会です。古い家の場合、設置できる新たな設備に制限がありますし、設備だけだと有利なローンが組めない場合もあります。

折角の新築です。義務化するなら太陽電池よりも核シェルターの設置を優先して欲しいと個人的には思います。

戦争が起きる、などといたずらに煽るつもりはありませんが、何が起きてもおかしくはない今日この頃です。しかも少子高齢化に人口減少が続いている現状、できればひとりでも多く生き残って欲しい。

下のグラフは、株式会社シェルターさんのサイトにあったグラフから数値を引用し、新たに作成したグラフです。

韓国の300%の意味はわかりませんが、恐らく個人宅以外にも地域などで人口を十分にカバーできるシェルターが用意されているということなのかも知れません。

広大な敷地と、海に囲まれているという好条件のアメリカでさえ82%の普及率です。もっともアメリカの場合は、報復に備えているというのが実情かも知れません。それに加えて、自分の身は自分で守るという国民ひとりひとりの意識が強いせもあると思います。

この当たり前の意識が日本人には希薄です。

日本の場合は、地域の安全や保全を一人一人があるいは地域が担っていて、それが功を奏しているせいもあるからと思います。外国人の出入国が他国に比べて少ないこともあるかも知れません。平和ボケという意見もあるかも知れませんが、国内全体の平和が維持できているのは、国民ひとりひとりが小さなことに気をつけていることも決して侮れません。

もちろん国外からの軍事的侵攻を防ぐ役割は自衛隊に担うしかないのですが、いつでもどこからともなくミサイルが飛んでくる可能性のある今、個人や地域が対処できる新たな防衛手段を備えなくてはならないのは止むを得ないことと思います。

軍事産業に金を出したくはないが・・・

シェルターはお安くはありません。それだけで数百万円というお値段です。

核ミサイルの直撃をくらったら、シェルターに入っていたところで無駄かも知れませんが、有事は多くの場合、火災や熱線による被害が主体となりそうです。住宅の上物が焼けても、地下設備の中でどうにか生き残れるような屈強なシステムが必要になります。

電気やガスの供給は停止するでしょうし、長期に渡って空には黒い雲が漂い、雨となり、太陽電池はほとんど役に立ちません。もっとも屋根の上の設備は燃えてしまうと思いますが。

そんなわけで、備蓄した燃料による発電システムの方が小回りが利きそうです。

地域を不安定にさせることで軍需産業を潤わせるというグローバル企業の常套戦略に乗せられるのはしゃくですが、それと自衛するしないは別の話な気がします。

太陽電池よりも核シェルターを、工事の難しい人々のために空き家を買い取り地域シェルターの設置を

太陽電池の設置を義務化するとしても、都は少なからず補助を出すと思います。どうせ費用を費やすのであれば、やはりシェルターの方が優先度が高いように思います。

新築であれば、比較的シェルターの設置は容易かも知れませんが、既存の住宅の場合は結構難しいと思います。

住宅の地下への設置は立て直さない限り難しいでしょうし、設備が埋め込めるような広い庭のある住居はそう多くはないと思います。

有事に、都内、特にビジネス街や商業施設に存在していた場合、一時的に地下鉄や建物の地下に逃げるという方法がありますが、あくまでも一時的な避難だと思います。

そもそも地下鉄の構内って、核物質の侵入を防ぐような設備が整っているのでしょうか? 仮に何日か籠城することになったとして、食料や空調などが揃っているのでしょうか? 全然ダメな気がします。

そして郊外の場合は、そんじょそこらにそんな設備があるわけではありません。さらに首都圏全体を見た場合、その多くの面積を占めているのは住宅街です。

一案としては、現在人の住んでいない空き家を地域ごとに買い取ったり借用し、シェルター化してはどうかと思います。地区ごとの人数に合わせてバランスよく点在させることです。

有事に使おうとしたら食料も防具もスッカラカンだったら元も子もありませんので、平時は地域のコミュニティ施設や防災活動の場として使い、犯罪者の侵入を防ぐようにします。

こうした施設や活動を中心に、地域の安否確認も年に一回9月1日だけでなく、月レベルで行えば、高齢者(孤独死)や若年層(虐待など)の平時の安否確認にもつながりやすくなります。また、当然ながら自然災害時の活用もありです。

どうせ税金を使うというのなら、そうした目に見える安全・安心への取り組みに対して使って欲しいものです。

そして、東京都の条例の内容が「C国製太陽光パネルの使用は一切禁止」であれば、かつての石原都知事並みのカッコよさを感じると思います。